諸行無常をポップに描くイラストレーター・Chariがみつめる、秋🍂《dōzo art club》
こんにちは!dōzo編集部カワツです☺
秋晴れが気持ちいい季節になってきましたね🍁
今月11月で、なんとdōzoアプリはリリースから1周年を迎えます✨
そんな記念すべき11月の壁紙を描いてくださったのは、Chariさん🎉
壁紙の制作秘話やこだわり、Chariさんの創作のルーツまで、たっぷりお聞きしました。
10月や12月に負けない、“11月のかわいさ”がぎゅっと詰まった壁紙の世界をお楽しみください。
Chari
東京を拠点として活動しているイラストレーター、アーティスト。美術大学を卒業後、グラフィックデザイナーとして活動する傍らでアーティスト活動を開始。キャラクターを軸として、自身の思いを投影した作品を制作している。
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ハロウィンにもクリスマスにも負けない、11月の可愛さ
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——今回の壁紙、どんなイメージで描かれたんですか?
今回はリスをメインに描きました。もともと小さい頃からシマリスやチップとデールが大好きで、「あれ、リスってあんまり描いたことないな」と思ったんです。秋といえばどんぐり、あとキノコも描きたくて、いろんな色で遊べるモチーフとして決めました。全体としては、秋晴れの森をお散歩しているような、ぬくもりと気持ちよさを感じられる雰囲気にしたかったです。
——今回の制作で意識したことは?
全体のバランスと可愛さ、秋らしさ!これが一番です。キャラクターの配置や配色、落ち葉の量などはロジックで調整して、バランスを見ます。もちろんロジックだけではなく最終的には自分自身が可愛い!見た人が可愛いって思うかな?という感覚が1番大切です。そして、10月のハロウィンや12月のクリスマスに「負けねぇぞ!」という気持ちで、11月ならではの秋の魅力も大事にしました。「秋の良さ」を感じてもらえるように、紅葉や秋晴れの気持ちよさを前面に出しています。
——いつもの作品との違いはありますか?
いつもは線を黒で描くことが多いんですが、今回はキャラクター以外には黒線を使わず、背景は同系色の濃いめの色でまとめました。それに加えて、普段あまり使わないグラデーションも取り入れました。秋晴れの澄んだ光や奥行きを表現して、スマホの小さな画面でも見やすく、気持ちよく見られるように工夫しています。

色味はキャラクターが引き立つように背景を抑えつつ、秋のスカッとした空気や抜け感を出すことを意識しました。目に優しく、落ち着いて見られる色合いに整えています。
——作品の中にリスやキノコが登場しますが、それぞれのキャラクターにはどんな物語があるんでしょう?
リスは冬支度でどんぐりを集めています。でも大きいどんぐりから先に取られるので、小さいどんぐりはしれっとしているんです。奥には大きなどんぐりが木の影に不安そうに隠れています。先頭にはキノコの友達がいて、どんぐり集めを手伝ってくれます。
キノコにもレベル差があって、経験豊富な「達観したキノコ」(歩けるタイプ)と、まだ見習いの「普通のキノコ」がいる感じ。まるでスター・ウォーズでいうところのジェダイとパダワンみたいな関係…なーんて思いつきで言ってます(笑)。
固定したストーリーはないので、自由に捉えてもらえたらと思います。
“暇つぶし”から始まったChariさんワールド
——Chariさんが“Chari”として活動を始めたきっかけは?
ちょうど暇な時期があったんですよね。ずっとグラフィックデザイナーをやってて、なんかネガティブな気分もあったんですけど、暇つぶしに適当に絵を描いてみたんです。そしたら、「あ、これ結構かわいいかも」と思って。次はおじさんキャラを描いてみたりして、描くのが結構楽しくなったんですよね。で、手のひらサイズの小さなノートに、黒ペンだけで一冊まるっと描ききりました。

当時のフィールドノート
そのノートを友人に見せたらが「これ、インスタで発信したほうがいいよ」って言ってくれて、思いつきもしなかったけどインスタを始めたんです。そしたら、4か月後くらいにTOKYO PiXEL.さんから「個展しませんか?」って声をかけてもらって、そこから今に至る感じです。
最初はデザインの仕事と並行でやってたんですけど、徐々にイラストの方が自分に合ってるなって思えてきて。今はほとんどデザインのお仕事は受けず、イラスト中心でやっています。
——インスタ開設から4か月でお声がかかるなんてすごいですね!TOKYO PiXEL.さんでの初個展はどうでしたか?

初個展『Egg』のDM
全然個展とかやったことなかったんで、何もかもわからなかったですね。主人公キャラもいなかったし、他の人の個展を参考にしました。例えばKAWSの個展とか見て、「こういう風に連作で並べるのかな」とか考えて。白黒の絵をまとめて壁に並べたり、一個ポンって置くより、塊として見せる感じで組み立てました。
2か月しか準備期間がなかったんですが、デザインの仕事もしながら、予備校ぶりにジェッソ(下地として使う白い塗料)を塗ったり、アクリル絵の具を買ったり、右も左も分からない手探りで進めていたので、信じられないくらい大変でした。どのようなラインナップ、作品のサイズで壁を埋めるのか、作品をどう見せるか考えるのもとても難しかったけど、搬入して自分の作品が白い壁に並んだ時はすごく嬉しかったです。

初個展『Egg』の会場写真
その時はぶっつけ本番で、自分のスタイルもまだ固まってなくて、「普通に塗ろう、線引こう」くらいの感覚でした。自分が好きなアーティストさんに影響を受けてフラットな塗りと線で描いて、それが今のスタイルになっていますね。
——ご自身のスタイルをつくるうえで影響を受けたアーティストさんを教えてください。
影響を受けた作家さんや作品はほんとにたくさんあって、モーリス・センダックの絵本とかJames jarvis、KAWS、Steven Harrington、Keith Haring、Andy Warholとか。ディズニー作品も大好きで、あの曲線の美しさとか、キャラークターデザイン、世界観の作り込みがすごいなって思います。あと鳥山明先生の『ドラクエ』シリーズのモンスターとか、『スーパーマリオ』のキャラクターたちや色使い、世界観もめっちゃ影響を受けました。

影響を受けたアーティストや作品、ゲームなどのコレクションの一部。
『MOTHER2』も大好きで、子ども向けなのに、かなりダークで意味深な世界観なんですよね。ボスも怖いし、セリフも含みが深くて、ユーモラスでもあり、ゲームの細かい設定や無駄みたいな部分も全部面白くて大好きです。本やフィギュアまで集めちゃってます(笑)。ゲームのキャラクターや仕掛け、ストーリーの面白さとか、プレイし終わった時には、1本の名作映画を観たくらい、の気持ちになりました。『MOTHER2』からもかなりの影響を受けていると思います。

影響を受けたアーティストや作品、ゲームなどのコレクションの一部。
実際はこの3倍以上あります笑(by Chariさん)
だけど、総じて言えるのは特にキャラクターや配色に注目していること、さらに脇役キャラクターに惹かれやすいところですね(笑)。
——作品づくりで大切にしている“Chariさんらしさ”って?
私の作品の根底には、悲しみや怒りみたいなものがあって、だけどそれをダイレクトにネガティブなアウトプットはせず、キャラクターたちの雰囲気や、配色などでポップに表現しています。ネガティブな絵は自分も描きたくないし、人にも観せたくないから。私の絵で楽しくなって欲しいです。だけど少しだけハートちゃんや壁がヒビ割れてたりという描写は、敢えてしていたりもします(笑)。
現実は不条理でいいことばかりじゃないから、嘘みたいに明るいだけの絵は描きたくない。でも、そういうネガティブな要素も、見る人によっては共感やエネルギーになったりする。失恋ソングみたいに、共感して励まされることもあるじゃないですか。ただ明るいだけじゃなくて、どこかにちょっとした反骨精神があるのも、自分らしさかなと思っています。世の中の不条理や、人間の残酷さや怖さとかに対しての抵抗ですね。

愛犬とChariさんのお写真
近年は、愛犬である白い犬『Chan』を主人公にした世界を描いています。有限の命や時間、そして愛犬を自分の中で永遠にしたいという思いから『Chan』を生み出しました。愛犬はもう13歳で、いつお別れが来るかわからない。だから、今のうちにどういう作品を残したいか、どんなことを表現したいかを考えながら描くことが増えました。
命の尊さや儚さ、悲しみ、世の中の不条理も全部含めて、自分の作品の根底を一言でいうと「諸行無常」ですね。だけどそれをポップにニュートラルに描くことが私らしさなのかなと思います。
そして、これらはあくまでも、個展などの作品に関しての話であって、クライアントワークなどでは、不条理とかそういうのはもちろん表現しません笑。結局は、「 ポップでニュートラルでたのしんでもらえる絵」というのが、作品でもクライアントワークでも、全てに共通している私らしさだと思います。
永遠を描くということ。
——これまでで特に思い入れのある作品はありますか?
『UTOPIA』という個展のときに描いた、“庭”の絵ですね。

Untitled(個展『UTOPIA』)
この作品のきっかけは、愛犬の存在でした。「ぽかぽか平和で愛犬と自分が遊んだり、お昼寝できるような場所」が頭に浮かび、庭をモチーフにしました。
花が一年中咲いていて、エルフがそのお庭を管理している。風が気持ちよくて、愛犬が自由に駆け回っている。この作品を描きながら、「ああ、自分が作りたい世界ってこういうことなんだ」と実感しました。
——まさに“Chariさんにとってのユートピア”ですね。
はい。見る人にとっても、それぞれの“UTOPIA”を思い浮かべてもらいたいなと思って描きました。自分の中でも、とても大切な作品です。
——今後、挑戦してみたいことはありますか?
すでに色々なジャンルの仕事をやらせてもらっていますが、これからも広げていきたいです。医療系や教育系、エンタメ、音楽、食関連など、自分の幅を広げつつ、何より「楽しい」と思える仕事を大事にしたいです。今回の11月の壁紙の制作のときも、アイデアを考えているだけでワクワクして、早く描きたいなって思えたんですよね。そういう感覚をずっと大切にしていきたいです。
ちなみに今は、平面作品だけじゃなくてソフビなどの立体作品に挑戦しています。絵の中のキャラクターやモチーフを、実際に手に取れる形にしたくて試行錯誤中です。
それと、一緒に仕事する人とのコミュニケーションもすごく大事にしています。アイデアを出し合ったり、感覚が合う人と一緒にやると、仕事自体もより楽しくなり、よいものになる。現在私のマネージャーである多摩美時代からのの友人や、私の絵を気に入って頼んでくれる企業さまみたいに、お互いを大切にしてくれる人たちと一緒に仕事ができたら最高です。
あと、イラストレーターやアーティストなどの枠に縛られず、自分がやりたいと思ったことを素直にやるのを大事にしています。もちろん周りのやり方も参考にしますけど、自分に合わなければ「いいや」って切り替える。それを繰り返して、自分に合う仲間と一緒に楽しい仕事をしていきたいです。
“待つ時間”も、ギフトの一部。
——最後に、ギフトにまつわる質問をさせてください。Chariさんがこれまでで一番印象に残っているギフトの思い出は何ですか?
小学校の時のサンタさんの思い出がもう圧倒的ですね。うちはクリスマスツリーの下じゃなくて、枕元に置くスタイルで、完全に信じてたんですよ。「今日こそサンタさん見るぞ!」って張り切っても寝ちゃうんですけど、起きたらちゃんとあるんですよね。それがもう本当に魔法みたいで、ナンバーワンです。映画の世界に迷い込んだみたいな、不思議でハッピーな体験でした。自分が書いた手紙にサンタさんのサインも添えられてて、「うわ、サンタさんすごい…!」ってなりました。大人になってサプライズとかもらうのとはもう次元が違うんですよね、本気で信じてたので(笑)。
——確かにサンタさんって私たちの中で一番の贈り物体験かもしれないですね!ちなみに最近だとどうですか?
自分へのギフトなんですけど、最近一番テンションが上がったのは、自分で注文した『MOTHER2』というゲームの主人公、ネスのフルアクションソフビが届いた日ですね(笑)。一年以上前に受注生産で頼んでいたんですけど、ようやく届いて。首も腕も足も全部動くし、バットやPKフラッシュ(技の名前)も持てるんですよ。ずっと待っていた分、届いた瞬間はテンション上がりまくりでしたね。

ネスのフルアクションソフビ
——サンタさんもネスのソフビも、待つ時間まるごと楽しんでいるギフトエピソードで素敵です!今回は素敵なインタビューを本当にありがとうございました💫
🍄🐿 Chariさんの壁紙は、dōzoアプリからどーぞ!
Chariさんの壁紙は、dōzoアプリでダウンロードできます!
どんぐりとキノコの森で、あなたのスマホにも秋の風が吹きますように🍂
■ダウンロード方法
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Text & Edit:dōzo編集部
Photo:Chariさんご提供