イラストレーター・obakさんのプクっとかわいいキャラクターのルーツ。“好き”がつないだ出会いのはなし《dōzo art club》
こんにちは!dozoライターのPEです。
早いもので、もう2月。底冷えする寒さが続くこの季節、画面の中だけでもポカポカしたいですよね。
そんな2月にぴったりな壁紙を描いてくださったのは、イラストレーターのobakさん。温かみのあるオレンジカラーや、かわいらしく顔を覗かせる鬼のキャラクターが印象的で、画面を見るたびにポッと体温が上がるような一枚です。
今回は壁紙の制作背景はもちろん、イラストレーターになるまでの道のり、そして“好き”を続けてきたからこそ生まれた出会いについて、たっぷりとお話を伺いました!
obak
東京都在住。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科卒業。可愛くも不思議なキャラクターイラストを中心に書籍・広告・音楽・TVアニメなど様々な媒体を手掛ける。趣味は街歩きでキャラクターの看板などを見つけること。
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「豆まき」の思い出と心に残る愛らしい鬼の存在
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——今回の2月の壁紙は、どんなことから着想を得て描かれたのでしょうか。
節分やバレンタインデーなど、2月だけでもいろんな行事がありますが、その中で、自分の中で一番の2月の印象って何だろうと考えたとき、節分の思い出が一番に浮かびました。実家にいたころは、毎年家族で豆まきをしていたので、その記憶をイラストに込めました。
——かわいらしい鬼のイラストが印象的です!
『でん六』という豆メーカーの節分セットを、毎年使っていたんですが、そのセットには、赤塚不二夫さんが描いた鬼のお面がついていて、それを父が毎年つけて豆まきをしてくれました。普通、豆まきって「鬼は外、福は内」として災いを追い出すものだと思うのですが、赤塚さんの鬼のお面への愛着もあって“鬼”をキャラクターとしてかわいいなと思っていたんです。なので今回の壁紙には、節分と“鬼”の組み合わせを自然に入れたいと思いました。
——なるほど。だから、鬼も一緒に楽しんでいる感じがするんですね!
そうなんです。「鬼は内!」というわけではないですが、みんなで楽しんでいる雰囲気にしました。ちなみに、イラストの中の白いキャラクターは、実家で飼っていた犬をイメージしています。豆まきのときに投げた豆をいつも犬が食べていて(笑)。それがすごくかわいかったのを思い出して入れてみました。
飼っていたワンちゃんがモデルのキャラクター
——背景に『FEBRUARY』という文字を入れたデザインもいままでにない感じで新鮮です。縦長の壁紙ならではのバランスも工夫されているのかなと。
僕は画面をイラストで埋めたり、敷き詰めたりするのが結構好きなんです。今回もキャラクターだけを入れるというより、文字を入れた方がかわいいかなと思って描きました。背景は豆を表していて、2月はまだ雪が降る地域もあるかなと思ったので、雪のような雰囲気も少し含めつつ、寒い季節の中でもおうちの中はポカポカしている、そんなイメージを込めています。
今に繋がるオリジナルキャラクターの原点
——子どもの頃からイラストは描かれていたんですか?
物心ついたころから、絵を描くのは大好きでした。新聞に挟まれていた広告チラシの裏紙などに、オリジナルキャラクターをよく描いていましたね。
小さい頃から動物も好きだったので、「子犬0円」みたいな感じで架空のペットショップの広告を描いたりもしました(笑)。プラモデルのオリジナル広告チラシなども描いていましたね。

ご実家で大切に保管されていた
園児〜小学3年までのチラシ裏アートワーク
——その頃描いていたオリジナルキャラクターは、今にも通じるものがありそうですね!
本当にそうだと思います。昔、コロコロコミックの『オリジナルキャラクター募集』の企画にも応募したことがありますし、昔から背景を描くよりも、とにかくキャラクターを描くのが好きでした。
人との出会いが紡いだイラストレーターへの道のり。
——ご出身は三重県とのことですが、上京したきっかけは何だったんですか?
大学に進学するタイミングで東京に来ました。絵を描くことはずっと好きだったんですが、高校の頃は「美術大学に入りたい」「イラストレーターになりたい」といった気持ちは特になくて。当時、ストリートスナップ雑誌『FRUiTS』や『TUNE』にハマって、服が大好きになったので、漠然と服飾系に進みたいなと思っていました。
高校2年か3年の頭ぐらいだったと思うのですが、ある美術の先生に卒業後の進路について聞かれて、「服飾とか、文化服装学院に行きたいです」と答えたんです。
すると「スタイリストとかになりたいの?」と聞かれて、「そういうわけではないんですが…」と曖昧に答えると、「そんな漠然としているなら、行かないほうがいいよ」と言われました。
ただその先生が、「デザイン的な方向に行きたいんじゃないか?」等、根掘り葉掘り丁寧に話を聞いてくれて。その上で、「だったらもっと幅広くデザインを学んで、そこから考えてみてもいいんじゃないか。美大という道もあるよ。」と勧めてくれたんです。
そこで、とりあえず入ってから考えようと思い、美術予備校のデザイン学科コースに入り、その後、今はなき多摩美術大学の夜間学科に進学し、上京しました。
——イラストレーターとして活動を始めたのはいつ頃ですか?
美大ではいろんな授業でイラストっぽい課題をやったりもしていたんですが、「将来何になりたいのか」をずっと考えたまま就活も一切せず卒業したんです。卒業後もモラトリアムを引きずったまま、という感じで。音楽が大好きだったので、レコード店でアルバイトをしながら、その時間を過ごすことにしました。今思えば、そのレコード店には本当によくしてもらっていて、バイト時代の経験も含めて、今でも大切な思い出のひとつです。
そんな中、大学時代の友人に誘われてグループ展『とぶたましい』に参加しました。たまにイラストを描くこともありましたが、当時はイラストレーターとしてではなく、“おもしろ人間”みたいな立ち位置でした(笑)。でもこのグループ展をきっかけに知り合った仲間は今でもつながりがあり、一つ目の大きな刺激になりました。

『とぶたましい』のDM
数年後、『とぶたましい』に関わっていた人たちが次々に活躍し始めて、自分もその中の一人だったはずなのに、何もしていないことに焦りを感じるようになりました。ただ趣味だけで生きているのはまずいな、と。
その頃、イラストレーターのサヌキナオヤさんと出会い、X(旧Twitter)で相互フォローに。サヌキさんの投稿で、イラストレーター・シャシャミンさんのアシスタント募集を知り、「これだ!」と思って即応募しました。シャシャミンさんのアシスタントとして経験を積み、イラストレーターとしての第一歩を踏み出した感じです。
さらに同じ頃、音楽ユニット『group_inou』のimaiさんからいきなりDMが届いたんです。「ソロ活動を始めるのでアートワークをお願いできないか」と。面識はなかったのですが、2014年に開催した僕の初めての個展を見て、気に入ってくださったそうで。「すごく、いいね」と言ってくださったんです。僕自身、大学の頃『group_inou』の曲を聴いたり、関連記事を読んだりしていたので、本当にびっくりしたのと同時にすごく嬉しかったです。
それがきっかけでアシスタント業と平行しながらimaiさんとのお仕事も始まり、この出会いは、今の自分につながるとても大きな転機になりました。
——初めての個展を開いたのは、アシスタントを始める前ですか?
はい、そうです。アシスタントを始める前に、一度本名で個展を開きました。当時はこれといった確立した画風があったわけではなかったのですが、「何か自分で動かなきゃ」と思って、とりあえず“なんかやっちゃえ!”という勢いで開催した感じです。

今は半立体的なキャラクターを描くことが多いですが、当時は立体感のない、模様のようなキャラクターを描いていて、作風は今とはかなり違っていました。その頃はサイケデリックな音楽が好きだったこともあって、グネグネした表現に惹かれていましたし、同時期に水木しげるさんのようなタッチも好きだったんです。なので、サイケデリックな要素と水木しげるさんの妖怪を融合させたようなイラストを描いていました。
当時の作品
昔から変わらず大好きな、キャラクターの世界
——初めの個展は今とは作風が違ったとのことですが、現在の立体的なキャラクターのインスパイア元はなんですか?
そうですね、パッと思いつくのは任天堂ですね。マリオだったり、星のカービィだったり。小学生の頃、『スーパーファミコン』や『NINTENDO 64』が出てきた時期で、そういったゲームのキャラクターからすごく影響を受けたと思います。
ゲームの中身というよりは、パッケージが好きでした。実家にもゲームはあったんですが、めちゃめちゃ買ってもらえるかというとそうでもなくて、友達の家に行って友達がプレイするのを後ろで見ている方が好きでした。その方がビジュアルに集中できるので(笑)。ゲームショップで箱を見るのも、めちゃめちゃ好きでしたね。ゲームのキャラクターをデザインとして「いいな」と思っていました。
あとは、海外の企業のキャラクターものや昔のおもちゃなどを集めるのも好きで、自宅のデスクにはコレクションが並んでいます。そういうものからも、すごくインスパイアされています。

自宅のおもちゃたち
——なかでも、特に好きなキャラクターはありますか?
全部好きですが、頭に足が生えているキャラクターが特に好きですね。クリボーやカービィなど。コロコロして丸っこくてかわいいキャラクターが好きで、その感覚は今の作品にも直結しています。漫画だと、モジャ公やドラえもん、コロ助なども。やはり丸っこいフォルムに惹かれますね。
——丸っこいフォルムは、obakさんが描かれるキャラクターとも通じるものを感じます。ちなみに、音楽などから影響を受けることはありますか?
作業中は、音楽かラジオのどちらかを必ず流しています。特にラフ段階では音楽からインスピレーションを受けることが多いです。ジャンルはバラバラで、描いているイラストと全然合っていないこともあります。可愛らしい作品を描きながらゴリゴリのヒップホップを聴いたり(笑)。ラジオでは爆笑問題やオードリーなどお笑い系もよく聴きます。
——外でも音楽はよく聴きますか?
最近は、屋外では自然の音を聴くようになりました。ちょっとロマンチックな言い方になってしまうんですが、風の音や人の気配、商店の音とかがいいなと思うようになってきて。そういうものも、ひとつのインスピレーションになっている気がします。昔はどこでも常にイヤホンをしているタイプだったんですが、年齢のせいかもしれないですけど、自然の音も自分の中では結構大事な存在になってきましたね。
——イラストレーターとして、特に印象に残っているお仕事は?
ひとつに絞るのは難しいですが、やはりimaiさんに声をかけていただいて制作したフライヤーのお仕事ですね。形や紙質まで「好きに作っていいよ」と完全に任せてもらい、本当に自由にさせていただきました。その後もアルバムジャケットなど、続けて依頼をいただき、自分のイラストが形になることはすごく嬉しかったし、今の作風を作るうえでもとても大きな経験になりました。

obakさんが制作したimaiさんのフライヤー
しかもimaiさんって完成するたびに周りの人に「めっちゃいいでしょ」と言ってくださるんですよ。それが本当に嬉しくて。何者でもなかった自分に声をかけてくれて、「すごくいい」と言ってくれた人。身内以外の全く知らない人からそう言ってもらえる経験ってなかなかないので、心から感謝しています。僕のイラストがPOPYEの表紙になったときも、家族以上に喜んでくれました(笑)。

imaiさんとのアートワーク
——すごく素敵な関係ですね。お仕事仲間であり、友人のような存在なんですね。
宝物になった、半べそギフト
——dōzoにちなんで、ギフトの思い出を聞かせてください!
小学6年生の頃、友だちや年の離れた兄たちが持っていたボックス型の音楽コンポに憧れて、どうしても欲しくて、ずっと親にアピールしていました。その年のクリスマス、両親がとても嬉しそうにプレゼントを渡してくれて、「ついにコンポだ!」と喜んで開けたのですが、中身はコンポではなく一体型のラジカセだったんです(笑)。
そのときは「これじゃない!」と半べそをかきながら、自分の部屋に戻ったんです。でも、だんだん冷静になって、両親が喜ばせようと一生懸命用意してくれたのに申し訳ないなと思って。結局ラジカセを部屋に置くことにしました。
後日、そのことを知らなかった友だちから「それ、かっこいいね」と言ってもらえて、それからは一人暮らしのときにも持っていくほど大事な存在になりました。今思うと、半べそをかいていた瞬間も含めて、お金では買えない大切なギフトの思い出ですね(笑)。
その後、宝物になった思い出のラジカセ
——めちゃくちゃいい思い出ですね!ちなみに、obakさんはギフトを渡すこともありますか?
僕、古着屋さんに行くのがすごく好きで。自分では着けないですが、ピアスとか小物を見るのが好きで、そのとき「あ、これ、妻が喜ぶかな」と思うと、お土産に買って渡すことがあります。

奥様にプレゼントしたピアス
——ええ、素敵!お洋服好きなobakさんならではのギフトですね。最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください!
ゲームのキャラクターを描いてみたいですね。それと、絶対にやってみたいと思っているのが、お菓子のパッケージキャラクターです。カールおじさんや、たけのこの里のイラストを手掛けているひこねのりおさんの作品が大好きで。いつか自分もお菓子のキャラクターを手掛けてみたいなと思っています。
——obakさんのゲームキャラクターや、お菓子のキャラクター、すごく見てみたいです!今回は、素敵なインタビューを本当にありがとうございました✨
👹🐶 obakさんの壁紙は、dōzoアプリからどーぞ!
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あなたのスマホにも節分の可愛さを♡
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Text :PE
Edit:dōzo編集部
Photo:obakさんご提供