小雨そぉださんが描く、一枚のイラストに広がる“ノスタルジックな世界”
こんにちは。dōzoライターのPEです。
とうとう7月がやってきましたね。
これから始まる夏に、ワクワクが止まりません!⛱️
7月の壁紙を手がけてくださったのは、イラストレーターの小雨そぉださん。
プールサイドを舞台に、夏の空気がぎゅっと詰まったキュートな一枚です。
小雨そぉだ
愛媛県生まれ。書籍や広告、音楽ジャケットやコラボグッズ等、幅広く活動中。少し懐かしく清涼感のあるポップなイラストレーションを描きます。
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思い出から生まれた、サマーバケーションの一コマ

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—— 7月の壁紙では、さまざまなキャラクターが夏の訪れを楽しんでいる様子が描かれていますね。今回の着想はどのようなところから生まれたのでしょうか?
子どもの頃、家族でよく流れるプールに行っていた思い出があって。私はあまり泳げないので、普通のプールだと少し苦痛なんですが、流れるプールはただ浮かんでいるだけで進んでいくので、楽しかったんです(笑)。そういった子ども時代の思い出から着想を得ました。
それと、北欧のデザインが好きで。柄というより、一枚全体でひとつの世界観をつくるような北欧のテキスタイルがあるのですが、今回はそういう雰囲気にも挑戦してみました。
—— 物語のワンシーンが切り取られているような印象を受けました。キャラクターやシーンは、どのような順番で組み立てていったのでしょうか?
連想ゲームのように、「夏といえばプール」「プールといえばこの動物」と、まず季節やシーンを思い浮かべて、その雰囲気に合う動物たちを考えました。
実はワニやコアラは、オーストラリアをイメージして選んでいるんです。コアラは森の中にいるイメージがありますが、オーストラリアではたまに海辺に迷い込むこともあるそうで(笑)。
あと、はじめは普通のプールにしようと思っていました。でも、ありそうでなかったものを描きたかったこともあり、あまり見かけないS字の流れるプールを描きました。そして、どこを切り取って使っても楽しめるようなイラストになればいいなと。
—— お気に入りのところを切り取って壁紙にするのも、いいですね!ちなみに中央付近にいるペンギンは、何をしているところなのでしょうか?
水に飛び込む直前の瞬間です。ペンギンって、歩き方や動きが少し独特で面白いので、その特徴を入れてみました。

—— すごく可愛いですね!今回のイラストで特に気に入っているポイントはどこですか?
構図全体のバランスもそうですが、「ICE dōzo」という文字のシャレはうまくいったなと思っています(笑)。
あとは細部の描き込みですね。キャラクターに描いた光のような白い反射や、線の太さをあえて均一にせず変化をつけることで、動きを出しています。そういった細かい部分は特に気に入っています。
いつでも寄り添ってくれる、そんな存在に惹かれて

↑ 小雨さんポートフォリオサイトより
—— 小雨さんの作品には、どこか懐かしさを感じます。これまで影響を受けてきたものについて教えてください。
映画監督だとウェス・アンダーソンです。色や構図へのこだわりが強く、ポップな見た目なのに、内容はわりと重いテーマが多くて、そのギャップが好きなんです。衣装など細かいところまで徹底されていて、何度見ても飽きません。どんな気分のときでも心地よく観られる作品だと思います。
音楽ではスピッツが好きです。こちらも、気分いい日もそうでない日も自然と聴きたくなる音楽に魅力を感じていて、自分もそんなふうに日常に寄り添える作品を作りたいという憧れがあります。
—— どんな時でも受け入れられる作品、まさに小雨さんのイラストからもそんな印象を受けます。イラストを描くときのインスピレーションはどのようなところから得ていますか?
散歩をしたり、展示を見に行ったりすることが多いです。蚤の市で絵本を見て参考にすることもあります。
本当に些細なことからアイデアをもらうこともあって、例えば、買ったお菓子が美味しそうなときとか。そういう気づきを言葉でメモしておいて、描くときにストックの中から引き出すようなイメージです。


—— 動物のキャラクターの性格や動きはどのように考えているのですか?
イラストのお仕事を始めた頃は児童書の仕事が多かったこともあって、動物の習性や手足の数など、きちんと下調べをして、できるだけ事実と違いすぎないように意識して描くようにしていました。
たとえば今回の壁紙でも、コアラののんびりした性格だったり、水に飛び込む前のペンギンの仕草だったり。
他には、その動物に対する勝手なイメージみたいなものもあって。
例えばワニって、一般的には凶暴なイメージがあると思うんですが、私は「もし二足歩行で歩くキャラクターになったら、けっこう紳士なんじゃないかな」とか思っていて。
実際の動物の習性を参考にしながら、そうだったらいいな、という理想も少し込めながら描いています。
↑ つがいで行動する習性があるペンギンは、カップルとして描くことが多いとのこと
—— 動物の習性まで意識されているとは!面白いですね。ご自身の作品はどのように受け取ってもらえたら嬉しいですか?
こんなふうに見てほしい、というのは全くないです。
私の絵を見て「楽しそう」と言ってくださる方ももちろんいるんですが、「寂しそう」とか「孤独」を感じてくださる方も結構多くて。私自身も、孤独だったり、常にどこか暗いものがある状態で描いているので、作品を見て、少しでも気が楽になってほしいというのは大前提としてあります。あとは自由に受け取ってもらってもいいと思っています。
—— 小雨さんのイラストから感じる、どこか懐かしくて安心できる空気感の理由が、少しわかった気がしました。
変わっていくことを受け入れて、今のイラストを見つめる
—— 小雨さんのイラストは色使いがすごく印象的です。カラーリングで意識していることはありますか?
最近は、黒をよく使うようになりました。他にも、今まであまり使ってこなかった色に挑戦するようになりました。色の組み合わせを考えるときは、蚤の市で見つけた海外の絵本を参考にすることもありますね。
ただ、「この組み合わせが好きだから使う」というよりは、塗りながら「これとこれ、いいかな」みたいな感覚で決めていることが多いです。
その中でも、ちょっとしたアクセントになる違和感は大切にしています。あえて黒を多くしてみたり、反対色を持ってきたり、オレンジとブルーを目立たせて少しレトロな雰囲気にしてみたり。そういう部分も含めて、全体のバランスを見ながら色を決めています。

—— 数年前の作品では水色がよく使われていた印象でした。
イラストレーターになったばかりの頃は、「小雨そぉだ」という名前のイメージ設定もあって、水色をよく使っていましたね。あとは、愛媛県出身で常に海と空を見て育ったので、自分にとってすごく馴染みのある色なんです。そういう影響もあったと思います。
—— 長く活動する中で色使いにも変化があったのですね。
かなり変化していると思います。自分としても、その変化は自然なこととして受け入れています。憧れている作家さんたちの作品を見ても、時期によって作風に変化があるので。
毎回イラストを描いたあとは反省をするので、常に改善をしながら描いていますね。他のアーティストさんの展示を観に行ったりもしながら、インプットとアウトプットを繰り返しながら制作しています。
思ってもみなかった、イラストレーターへの道
↑小雨さんInstagramより
—— 幼少期からイラストは身近な存在でしたか?
実はそうではありません。ただ、絵を描くことは得意なのかな、とは思っていました。
今の作風につながるものを振り返ると、SF映画だったり、ウェス・アンダーソンの映画だったり、原田治さんの作品だったり。そういう昔から好きなものが積み重なって、今の世界観につながっているんだと思います。
実は、イラストレーターになる前はパティシエ見習いをしていました。ものづくりや手を動かすことが昔から好きだったんだと思います。パティシエを辞めてから、イラストの塾に通い始めて、今の仕事につながりました。
—— 意外な経歴に驚きました。パティシエの経験は現在にも活きていますか?
そうですね。例えば、陶芸作品を制作するときにも役立っていますし、もともとケーキなどを作っていたこともあり食べ物の構造を理解しているので、食べ物のイラストを描く際には、特に独自の視点が出せていると思います。
—— これまでに、印象的だった仕事はありますか?
『SWEET LOVE SHOWER 2024』のTシャツ制作です。そのフェスにスピッツが出演していて。それはもう、感動して泣きましたね(笑)。
あとは、一番はじめにいただいた『うんこドリル』という児童書のイラストのお仕事です。
↑ 『SWEET LOVE SHOWER 2024』のTシャツ(小雨さんInstagramより)

↑ 2024年『うんこドリル』内イラスト(小雨さんポートフォリオサイトより)
—— 児童書から音楽フェスのTシャツまで様々なお仕事を経験されてきた小雨さんですが、今後挑戦してみたいことはありますか?
お菓子全体のブランディングのお仕事をやってみたいです。以前、お菓子の缶のイラストを担当させていただいたことはあるのですが、もっと幅広く、お菓子にまつわるディレクションにも挑戦してみたいなと思っています。
—— パティシエとイラストレーター、両方の経験を持つ小雨さんだからこそ生まれるお菓子の世界観、とても気になります。実現する日が楽しみです!
最後に、dōzoにちなんで、よく贈るテッパンギフトがあれば教えてください。
最近はお茶やコーヒーなど、気軽に贈れるものを選ぶことが多いです。特に東京・中野の日本茶専門店「OHASHI」はお気に入りで、パッケージも素敵なので贈り物に向いていると思います。賞味期限などもあまり気にすることなく贈れますし、甘いものが得意でない方にも喜ばれます。
—— 日本茶の贈り物、粋で素敵です。小雨さん、このたびは素敵なお話をありがとうございました✨
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Text :PE
Edit:dōzo編集部
Photo:小雨そぉださんご提供